彼・・・私の天使。

2


 昨年、学生時代の仲良し六人で温泉に出かけた。出版社で編集をしている友人と私がシングル。四人は幸せそうな結婚をして子供も高校生、中学生。手が離れて、みんなで行こうということになった。

 主婦の四人は、それぞれご主人や子供の自慢やら悪口。私から見れば幸せ自慢にしか聞こえないけれど。

 一緒に温泉に入って言われた。
「キレイな体してるのね。同級生なんて思えない」

「羨ましいわ」

「でも勿体無い。女に生まれたからには最高の才能を使わないと」

「子供産むと人生観変わるわよ」

 いや人生観、変えてる程の暇ないし……。



 あぁさっぱりした。洗面台の鏡の前で真っ白なバスローブを纏いタオルで髪を拭く。少し茶色っぽいセミロングのゆるいウェーブはクセ毛。
 美容師の友人に言われた。自然なウェーブにしたくてパーマをかけるのよ。何もしなくても理想的なヘアが羨ましい。クセ毛だけは誉められる。

 キレイな体か。考えた事なかった。確かに妊娠線はないですよ、当たり前。胸は、まだまだ引力に負けてません。シャワーのお湯も、ちゃんと弾くし……。

「そのキレイな体、誰の目にも触れさせずに、お墓に持って行くのだけは止めなさいよね。私が今あなたなら大恋愛するけどな」

 大恋愛。しようと思って出来るものでもないと思うけど。
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