彼・・・私の天使。


 ソファーで眠っちゃった。ブランケットを掛けて、寝顔に涙? 強がってても辛いんだね。分かり過ぎるくらい分かるけど。
 そうね。どうしようもない事だってあるよね。

 みんな幸せになりたくて、幸せになるために生きているのに……。どこで間違っちゃうんだろう。どうして幸せになれない人と出会っちゃうんだろう。幸せになれない人を好きになるんだろう……。



「うん? あ~っ! 寝ちゃった。年明けた?」

「まだよ」

「あっ、紅白」

「うん。テレビでもつけてないと新年が来るって気がしないのよ」

「八時になったら起こして。お正月くらい実家に顔出さないと」

「みんな元気?」

「元気よ。甥っ子と姪っ子が、お年玉待ってるし」

「お年玉か。あげる子もいないわ」

「私の代わりに、あげてくれてもいいけど」

「スタッフにボーナス出すだけで手いっぱい」

「そっか。あんたは偉いわ」

「あっ、ねぇ、ベッド使えば?」

「このソファー寝心地いいのよ。知らない?」

「知ってる。家のソファーだから」



 カウント・ダウンが始まった。5・4・3・2・1。あけましておめでとうございます。

 と同時にメールの着信音。天使から
『謹賀新年! 去年は、あなたに出会えて最高でした! 今年は、もっとたくさん会いたい! 僕の真面目な目標です!』

『あけましておめでとう。先生! 疲れてない? ちょっと心配です。風邪ひかないで頑張ってね』
 メール送信。

 もし時間が空いたら美味しいお鍋でも食べさせてあげたい。



 元旦の朝。

「八時になるわよ」

「う~ん、よく寝た~っ。こんなに寝たの久しぶりだわ」

「お雑煮でも作る?」

「ううん、いい。家に帰ったら、しっかり食べさせられるから。さぁ、お見合い写真と格闘してくるか」

「お見合いするの?」

「する訳ないでしょ。どこから集めて来るのってくらいあるんだから。バツイチとか子持ちとかまであるのよ。勘弁して欲しいわよ」

「心配してるのよ。おばさん」

「ほっといて欲しいわよ。詩織、代わりにしない?」

「しない」  

「よね。さぁ行こう。ありがと。また電話するね」
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