彼･･･私の天使。

春 三月

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　あの日から二ヶ月が過ぎて行った。三月と聴くだけでも暖かな陽射しが、あふれていそうで気持ちまで明るくなる。

　真冬と間違えそうな寒い日も、たまにはあるけれど、それでも春は確実にそこまで来ている。

　あれからの天使と私はと言えば、もちろん一度も会ってはいない。
　私のマンションに彼が来ることもないし、私も彼のマンションには行っていない。
　ただメールのやりとりは……。

　あの日、正確には午前零時を過ぎていたので翌日になるのだけれど……。

『誕生日おめでとう！！　世界中で一番あなたを愛する男より』

　なんてメールが来てから、ほぼ毎日、近況報告と称するメールが来る。中には写メもあったりして……。もちろん天使の笑顔の。

　こんなんでいいんだろうかと思っているのは私だけなんだろうか？



　それよりも、この二ヶ月の間に私の周りで驚きの変化があった。

　友人の女医の玲子が、あれからインターンの彼とキッパリと別れて、その後ヤケ酒に付き合わされること数回。

　気分転換にとドライブに連れ出し例の牧場へ。そこで何故かステーキハウスのオーナーでもある息子さんと意気投合。

　学生時代に大恋愛をして、その後別れ、それでも忘れられなくて独身のままで居たらしく。見た目、渋くてカッコイイ山男。女性にはモテても結婚はしない遊び人。

　勝手に描いていたイメージとは、まるで違った一歳年下の彼と熱愛進行中。
　金のわらじを履いてでも探せと言われる一つ年上の女房に納まってしまいそうな気配……。

　よそ様の縁談をまとめるのが趣味でいらしたお母様も家の息子に医者の嫁が来ると大賛成のようで、社長も喜んでくださっていると聴いた。

　もちろん彼女の両親も。バツイチでも子持ちでも結婚させる気だったくらいだから。

　お酒に付き合って愚痴を聴く。から一転して、お惚気を聴かされる。幸せのお裾分け。