彼・・・私の天使。
玲子と居酒屋

1


 七月もそろそろ終わりのある日。久しぶりに幸せいっぱいの玲子から携帯に電話。

「元気だった?」

「元気よ」

「あの坊やドラマで活躍してるみたいね。ジムの女の子たちがカッコイイって大騒ぎしてるわよ」

「そうなの」

「久しぶりに飲まない? 明日どう? いつもの店で」

「うん。大丈夫よ」

「じゃあ、明日ね」

 明日、お惚気を聴かされるのね。いいわよ。しっかり聴いてあげるから。彼女、今まで報われない恋愛ばかりしてきたから幸せになって欲しい。



 そして翌日。いつもの居酒屋。生ビールで乾杯!

「結婚式の日取り、決まったの?」

「それなんだけど、式はしないつもりなの」

「えっ? どうして? 両方の親は、それで納得してくれたの?」

「ううん。まだ揉めてる」

「でしょうね。あなたのご両親もだけど、あちらのご両親もそういう事、きちんとしないと気が済まない方だから……」

「そうなのよ。それに私、仕事まだ辞めたくないの」

「医者、続けるの? 今のままって事?」

「籍は入れるわよ。でも夫婦別姓にしようと思ってる」

「えっ? 彼は? それでいいって言ってくれてるの?」

「お互い独身が長かったでしょう? 結婚したからって、その日から毎日一緒に居なくちゃいけないっていうのもねぇ。いずれは一緒に住むとしても、そんなに急がなくてもいいんじゃないかって思うの。仕事、続けたいのなら別居結婚でも構わないって言ってくれてる」

「あなたらしいって言えば、すごくあなたらしいけど。早く孫の顔が見たいって言われない?」

「言われてる。タイムリミットよね。でも家も兄貴の子供がいるし。向こうも、お姉さん夫婦が牧場継いでるし子供も三人いるから孫がいないって訳じゃないし、産まない自由だってある訳だし」

「産まない自由ねぇ。確かにそうだけど」
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