彼・・・私の天使。

2


「はい。どうしたの?」 

「考え事してたら眠れなくなって」

「どんな考え事?」 

「怒らない?」

「私が怒るような事なの?」 

「僕、嫉妬してるんだ……」

「えっ? 嫉妬? 誰に?」 

「あなたの昔の婚約者に……」

「どうして?」 

「僕が知らない、あなたを知ってるから……」

「私、言ったでしょう? 二度と会いたくない人だって。思い出したくもないし会うつもりもない。そんな人に嫉妬するの?」

「ごめん。僕、欲張りだから、分かってるんだけど……」

「私ね。もう誰も好きにならない愛さない、そう思ってたの。でも君に出会って私の中にまだ人を愛する気持ちがあったんだって分かって嬉しかった。瞬君のお陰なの。愛してる。心も体も私の全てであなたを愛してる。これでも足りない?」

「僕も愛してる。あなたの何もかも全部。ごめんね。僕ワガママだから、あなたのこと全部欲しいから、誰にも取られたくないから」

「そんな心配しなくていいの。それより嫉妬するなら私の方でしょ? 仕事だからって可愛い子と仲良くしてラブシーンまであるんでしょ? 嫉妬してもいいの?」

「えっ? だってそれは仕事だから……」

 慌ててる天使が可笑しくて笑ってしまった。
「冗談よ。本気にした?」

「だって確かにそうだから。ごめん。僕が悪かった。もう嫉妬なんかしないから。さっき言ってくれたこと嬉しかった。安心して眠れそう」

「早く眠らないと寝不足で充血した目じゃ、せっかくのイケメンが台無しよ。おやすみなさい」

「おやすみなさい。じゃあ」

「うん」
 携帯を切って。困った天使ね。そんな昔のこと言われても……。
 もう私は君でアフレテルのに、そんなことにも気付かないの?
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