彼・・・私の天使。
ドラマから舞台へ

1


 そして天使の初舞台初日の夜。もう終わって劇団のみんなと祝杯でも挙げてるのかな? 
 十一時過ぎてるし私は食事もシャワーも済んで何をするでもなくソファーでまったりしていた。

 明日は定休日で二日目の舞台を観に行けるんだから。

 そこへ着信音、天使から。
「今から行ってもいい?」

「えっ? いいけど」

「じゃあ、行くから……」
 携帯が切れた。

 何? 元気なかった。どうしたんだろう。セリフ間違えた? 出番、間違えた? 団長や先輩に怒られた? 
 どうやって慰めよう元気付けよう……。眠気も吹っ飛んだ。

 しばらくしてチャイムの音。ドアを開けるといつもの百倍くらい嬉しそうな天使が立っていた。

 部屋に入って笑顔の天使は
「終わったよ初舞台。団長に七十点くらいかなって言われた。でも先輩が団長の七十点は百点って事だよって教えてくれた。舞台って凄いんだ。役者が、みんな最後に舞台に行き着く理由が分かったよ」

「良かった。さっきの電話、元気なかったから心配したのよ」

「びっくりした?」

「どうやって慰めようかとか、いろんなこと考えたわよ」

 すると天使に優しく、でも、ぎゅっと抱きしめられ
「居てくれるだけでいい。傍に居てくれたら、どんなことでも頑張れるから」

 なぜだか涙があふれた。天使は私の涙に気付いて、そっと頬にキスしてくれた。
「今夜、隣りで眠ってもいい?」

 私は頷いた。

 夜中、目が覚めると私は天使の腕の中。彼の体温を素肌で感じながら……。

 初舞台の緊張も解けて安心して熟睡しているように見える。寝顔の可愛さは少しも変わらないのに、なんだか今夜は大人びて見える。

 初めて出会った頃、彼は私にとって男の子だった。年齢は充分、大人だったけど。

 役者として少しずつ、でも確実に周りから認められ生涯の仕事として続ける自信が持てるようになったから今の彼は前よりもずっと頼もしい男に見える。

 天使の傍に居たい。心からそう思う。役者としての彼も見守って行きたい。私に出来ること何でもしてあげたいから……。
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