彼・・・私の天使。

2


 するとチャイムの音。
「舞台終わったよ」

「お疲れさま。すごく良い顔してる」

「そう? いつもだけど」 

「もう、自分で言う?」
 二人で笑った。

 天使が役者として、またひと回り、それ以上成長したと感じていた。

「きょうはドラマの撮影は?」

「撮影はしてるけど、僕は休み」

「明日は?」

「二十一時から撮影だから、それまで一緒に居られるよ。お店、休みでしょう?」

「じゃあ久しぶりに、ゆっくり出来るのね」

「そうだ。お弁当すごく美味しかった。先輩にそうか、いるんだ彼女。で、から揚げ取られた。料理が上手い彼女は最高だぞって誉められたよ」

「その先輩は結婚してるの?」

「うん。初日に愛妻弁当を持って来てた先輩。十五日間毎日、美味しそうなお弁当持って来てたよ」

「素敵な奥様なのね。十五日間か。大変よね」

「作ってくれる? 毎日とは言わないけど」

「そんなにレパートリーあったかな? ねぇ、打ち上げって遅くまで盛り上がるんじゃないの?」

「うん。もうみんなお酒入っちゃってハチャメチャだった。僕は車だからジンジャーエール飲んでたけど」

「じゃあ、抜けて来ちゃったの?」

「愛妻弁当の先輩が帰ってもいいぞ。彼女に会いに行けって。もうみんな酔っ払ってたから、まともな話はないからって」

「そうなんだ。良い先輩なのね」

「うん。一番よく話すかな」
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