【短編】魔法なんて、使わなくてもさ


そんなの嫌だ。


この感情が何なのかなんて分からないけど、


ただ、今はこう思う。

私が今までドキドキしてた分、
鈴木をドキドキさせられていたら。

私にとって鈴木が励みになっていた分、
鈴木にとって私が励みになっていたら。


この空が夜を抜け出してしまう前に、


プライドなんて捨てて

間違ってるのかもしれないけれど
それでもいい。

答え合わせをしたいの。



不意にこっちを向いた鈴木と目があって、

「ねぇ鈴木、私」
「なぁ、やっぱり俺」

重なった言葉

「先に言って」
「いい、佐藤が先言って」
「うん、あのね…」


もしかすると、
それが答えなのかもしれない。

魔法なんて、使わなくてもさ

わかってしまった気がする。


「私ね、鈴木のこと…好きだよ」



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