キミに降る雪を、僕はすべて溶かす
今日は、吉井さんが連休を取って休みだった。羽鳥さんもだ。
二人がいないと、エアコンつけてるのに社内の温度が二割増し低くなってる気がする。
愛想の欠片もない店番担当の営業さんが、眠そうに欠伸を噛み殺したのを横目に捉えながら。自棄になって、パソコンのキーボードを勢いよく叩き続けた。



ミチルさんは。グランドエステートを辞めろとは言わない。
でも、このままいられるほど強くない。
・・・・・・いるのは辛い。

もし辞めたら。淳人さんは何があったのかを、ミチルさんに問い詰めるだろうか。
赦さないだろうか。今の、あたしとミチルさんの関係を知ったら。
淳人さんから引き離す為に、ミチルさんがあたしを抱いたと知ったら。



答えの先に待つものが少し怖い。
微かに眸を歪め、鳴った電話を取るために受話器に手を伸ばした。


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