キミに降る雪を、僕はすべて溶かす
5-3
「こっちに誰かを招くのは、利律子ちゃんが初めて」

睦月さんが案内してくれたのは、保科さんが出入りしていたカウンターの奥。
せっかくだから、食後の珈琲はゆっくりくつろげる場所で。二人の微笑みに吸い込まれるように。

シェードで隠されてた扉の向こうは、睦月さん達のプライベートエリアだった。

通されたリビングダイニングは、壁が一面、テレビ台と合わせたウォールシェルフ仕様で、見栄えよく本や小物なんかが飾られてる。その前に、カウチソファとリビングテーブル。キッチンとリビングは、うちと同じに二人掛けのダイニングテーブルとカウンター式のラックで、上手く仕切ってあった。

「さすがに、羽鳥君をここには入れられないからね」

妖しい笑みを口の端に乗せた横顔を覗かせ、保科さんがキッチンへ向かう。

勧められてソファに腰掛けたあたしは、少し離れて隣り合った睦月さんに視線を傾げた。
やっぱり気になる。睦月さん達の関係。
目が合った彼女は少し困ったように笑んでから、「利律子ちゃんには理解しづらいって思うけど」と前置きをする。

「赤い糸が両手に繋がってる。・・・って言えばいいのかな」

言って、言葉を探すような仕草。

「私には愁一さんだけって分かってるけど、答えを出すのはもう少し先でいいって、彼も大介さんも甘やかしてくれてるから・・・」

抽象的な表現で、分かるような分からないような。
ただの三角関係って風でもなく。もっと純粋な気もした。
彼女も保科さんも。纏う空気は柔らかくて、透明だったから。
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