ビロードの背中
彼は、私より頭一つ大きい。

それは前から知っている。

その背丈の差が、今日はとても怖く感じる。


「何か飲む?

・・って言っても、水かコーヒーだけど。」


「じゃ・・、お水。」


彼は冷蔵庫からボルヴィックのボトルを出して、コップについだ。

私は座る事もなく水を受け取ると、飲みながらベッドを見た。



「気にするんでしょ?

・・・シーツも枕カバーも布団カバーも、全部新しくしたよ。」


水を飲み終えて、コップをキッチンに置いた。

2人でなんとなく、そして何も話す事無く立っていた。




――彼が口を開く。

「シャワー、先に使っていいよ。」


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