12月の春、白い桜が降る。
久しぶりに鳴った、聞き覚えのあるリズムに乗った鈴の音。

紛れもない、私の携帯からだ。

まだ感覚の失われていない腕を軽々と持ち上げ携帯を手に取る。

メッセージはようからだった。

明日のクリスマスイブに、イルミネーションを見に行こうといった誘いだった。

その一文を見た時、すごく泣きそうになった。

どうしても行きたい。

私は死ぬ気でお医者さんとお母さんに頼み込んだ。

明日デートに行かせてくれたら、もうもしそのすぐ後に死んでも、きっと未練は残らないから__、

二度と病院から出ないから__、


ずっとお母さんの傍にいるから____。
< 151 / 210 >

この作品をシェア

pagetop