やさしくしないで ~なぜか、私。有能な上司に狙われてます~
店員さんに先輩を担ぐのを手伝ってもらい、半ば、店から追い出されるように店から出た。
手伝ってもらっても、力の抜けた男性一人分の体重を支えるのは大変だ。
これは、完全に失敗した。
とんだ安請け合いをしてしまった。
店の前に止められたタクシーに、二人がかりで乗せる。
岡先輩は、素直に私の言う通りに体を動かしてくれる。
二人が仮だけど、重い。
「しっかりしてくださいね。家まで送って行きますから」私は、先輩に声をかける。

「どちらまで?」
ようやく車に乗り込んだと思ったら、運転士さんに言われた。
酔っぱらいをしょい込んだことに迷惑そうだった。
はっきり答えないと、車を降ろされてしまう。
私は、岡先輩の体を揺すった。
「先輩、家はどこですか?」しつこく揺すったけど、やっぱり反応がない。
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