やさしくしないで ~なぜか、私。有能な上司に狙われてます~

「どうしたの?課長探してるの?」早紀先輩が、コートを手にして立っていた。
「ええ、ちょっと……」
「課長、ホワイトボードに外出って書いてあんじゃん」早紀先輩が不信そうに私を見る。
「ええ、ちょっと。ふらっと戻ってこないかなと思って」
「なら、電話かければ?」
「はあ……」電話を掛けたいのは、やまやまですが。
彼は仕事中だ。私用でかけたら怒るだろうな。
それに。話したいことはたくさんあるのに。いざ、相手が電話にでたら、ことばがでてこない。頭が真っ白になって、何て言ったらいいのか分からない。

いっそのこと仕事のふりしてかけてしまおうかな。
迷惑がられても彼の声が聞きたい。
『どうした?』
何に悩んででも、課長に話してしまえばすぐに片付いてしまう。軽く頭を撫でてもらえればそれだけで癒される。

そうだ。早紀先輩何て言うかな?
止めておいたら?
って言われたらどうしよう。

でも、誰かの意見が聞きたい。
「あの……ちょっと、よろしいですか?」
「なに?」
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