10ヶ月経っても遠い君


「由真、好きだよ」


笑顔のまま、秀くんが言う。


「ずっとその笑顔に救われてきた。嫌なことあっても、由真の笑顔見たら頑張ろうって思えた。
最近由真、笑わないこと多くなって、どうかしたのかなって思ってた。
愛想がない俺と一緒にいるの、嫌になったのかと思った。
こんな俺だけど、由真、これからも付き合ってくれるか?」


捲し立てられるような勢いで紡がれた言葉が、秀くんも緊張してたのかなって、私を変に冷静にする。


「変なこと言わないでよ、秀くん。
私が勝手に秀くんの気持ち誤解してただけだよ。
焦ってただけなの。秀くんは何にも悪くない。
今日一日私を楽しませてくれて、ありがとう。
秀くんの笑顔に助けられてたのは私もだよ。

これからも、よろしくね。」


秀くんとお互いに目を合わせて想いを伝えあう。


「よかった、由真がまだ俺を好きでいてくれて」

「そんなのこっちのセリフだよ。もう、ダメかと思ってた。」


二人で一番上を通り過ぎてだんだん地上が近づいてきたゴンドラの中で笑いあう。

地上に着くまで何でもない話をして、お互い今まで知らなかったことを知って。

悩んでたことが馬鹿らしくなるくらい、幸せな時間だった。


「ご利用ありがとうございました」


スタッフさんが開けてくれた扉の外に出て、流されるまま前に進む。


上からじゃなくて同じ高さから見るイルミネーションも、本当にきれいで。

光の粒が私たちを照らしてくれた。

周りの人なんか全く気にならなくて、光と秀くんと私だけの世界に入ったみたいな気分になる。


「来れてよかったなあ」

「来年も来ような」

「うん!」


来年も来れますように。

私たちだけの世界に別れを告げて、私たちは手をつないで帰路についた。

胸はいつもよりも微かに跳ねていて、身体はまだ熱いままだった。



< 8 / 8 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:3

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

四季の恋   ~春の始まり~
kion/著

総文字数/16,144

恋愛(その他)50ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
動き出した青春 笑って、泣いて、喜んで、悩んで 忙しく駆け足で過ぎていく日々 私たちはいつか終わってしまう青春を いつまで駆けていれるだろうか ❀✿❀✿ 桜坂 春香 (さくらざか はるか) × 雪那 冬馬 (せつな とうま) ❀✿❀✿ これは、2人の始まりの物語
秘めた言葉
kion/著

総文字数/6,215

恋愛(純愛)9ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
私には、高校生になっても仲が続いている男の幼馴染がいる。 中学生の時にそいつが好きだって自覚したけど、そいつは絶対に、恋愛感情で私を見てない。 なんでわかるかって? そんなの簡単。そいつと何度有名デートスポットに誘っても、甘い雰囲気になったことがないから。 最初は期待した。誘っても、断わられることが無かったから。 でも私は気づいてしまった。なにも感じてないから、断らないんだってこと。 ──そして、今でもその“仲のいい幼馴染”という関係は続いている。
【BL】好きになってよ。
kion/著

総文字数/52,749

恋愛(純愛)150ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
生まれた時から一緒。 親同士が仲が良くて、ずっと一緒だった。 ▷------------------◁ 口悪男 小野瀬慎也 × 気弱男 山内拓海 ▷------------------◁ 幼なじみの三角関係 ・ 「僕ね、しんちゃんのこと好き」 ・ 「俺はお前のこと好きだからさ」 ・ 「拓海、俺さ、」 ・ START▹▸2017.10.20

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop