強気なサッカー選手の幼馴染みが、溺愛彼氏になりました



 秋文は自分の知らない女性に、優しく接して笑顔を見せている。そう考えると、妙な気持ちになってしまい、千春は自分でも少し焦ってしまった。


 「彼女とは別れた。」
 「えぇ!?どうして……。」
 「……合わないと思っただけだ。」


 そういうと、持っていた箸を置いて、千春を見た。その瞳は、少し迷いがあり揺らいでいたけれど、すぐに真っ直ぐこちらを見つめ始めた。


 「だめだよー、秋文、幸せにならないと。」


 サッカーが大好きで、誰よりも努力をしていて、友達に対しても優しく秋文。

 そんな彼には、幸せになってほしい。
 少し鋭い顔が多い彼だけど、先程のように笑っていてほしいと思うのだ。


 そんな事を彼に言っても、また冗談やいつものようなやり取りの言葉が返ってくると、千春は思っていた。

 けれども、返ってきたのは真剣な表情と、優しい視線だった。


 「……俺を幸せに出来るのは、おまえだけだ。」




 秋文の言葉で、千春はすべての音が止まったように感じた。



 そして、驚き胸が大きく鳴ったのだった。




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