強気なサッカー選手の幼馴染みが、溺愛彼氏になりました



 「はぁー……おまえなぁ、俺をどうしたいんだ?」
 「え……?」
 「恋人同士になった瞬間、恥ずかしくなるとか。俺を意識してるってことだろ?」
 「……そうだけど……。」
 「可愛すぎるだろ、それ……。」


 いつの間にか、千春のマンションの前に車が停車しており、秋文は自分のシートベルトを外すと、体を千晴の方に寄せて、両手で千春の顔を優しくつつんだ。


 「付き合い始めたばかりだから我慢しようと思ってたんだけど……。」
 「秋文……?どうしたの?」
 「ずっとずっと我慢してたんだ。だから、おまえにキスだけしてもいいだろ……?」
 

 手で顔を包んだまま、右の親指で千春の唇を秋文がゆっくりとなぞる。
 それだけで、千春は体が震えそうになる。


 「でも…恥ずかしいよ。秋文……。」
 「我慢しろ。おまえに彼氏が出来る度に、俺は嫉妬で苦しんでたんだ。……やっと俺のものになったんだから、おまえを感じさせてくれ。」

 そんな切なそうな表情で彼に求められてしまうと「だめ。」と言えるはずもない。
 顔だけではなく、首もとまで真っ赤にしながら、千春は小さな声で返事をした。


 「……1回だけなら……。」
 「あぁ、1回でいいから。」


 大切なものを愛でるように、目を細めて千春を見つめ、そのまま優しく千春に口づけをする。
 短い時間だったが、彼の温かい唇の感触を感じて、千春は胸が苦しくなるぐらいにドキドキしていた。

 「なぁ……千春、もう1回。」
 「え、ちょ……っっー……。」


 我慢出来ないと言わんばかりに、千春の返事を待たずに秋文はまたキスを繰り返した。2回目のキスは、千春の唇を食べるように彼の口に覆われてしまう。
 舐めるようなキスに、思わず体を固まらせて彼に抱き締められたまま彼の甘いキスの翻弄されてしまう。


 「あ、秋文……1回だけって言ったのに……。」
 「ダメだ。気持ちよすぎて、我慢できない。」


 秋文は、荒い呼吸をしながら、もう1度キスを落とした。ぬるりとした感触が、千春の口の中で動く。深い深い口づけに、千春は甘い声を洩らしながら、彼の与えるキスを受け入れていた。

 「あと1回。」が、その後も何回か続いた後。千春は、すっかり体の力が抜けて、くったりと秋文に体を預けてしまっていた。


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