強気なサッカー選手の幼馴染みが、溺愛彼氏になりました




 「ほーら!折角、四季組が集まってるんだから、話なさいよ。」
 

 「四季組」というのは、立夏が名付けたこの4人のメンバーの事で、4人には四季の春夏秋冬の文字が一文字ずつあるので、そう呼んでいたのだ。初めては、「変だよー!」と、笑っていたけれど、今ではすっかりその呼び方が定着していた。

 高校や大学と、学生の時は毎日のように会っていたけれど、社会人になると、そんなに頻繁には会えなくなってしまう。社会人ももう5年目にもなるとそれぞれが忙しくなってしまう。それでも、1、2ヶ月に1度は会うようにしていたが、今回の集まりは急だった。千春が「また、フラレた!助けてー!」と、SOSの連絡をグループメールで送ってたのがきっかけで、たまたま空いていた3人が数時間後には、こうやって集まることが出来ていたのだった。


 「で、なんでフラれたのよ?今は、確か憧れの先輩だっけ?」
 「うん……大学の頃からかっこいいなーって見てた先輩だったんだけど。たまたま、仕事とで一緒になって。付き合うようになったんだけど。」
 「2か月前ぐらいに、千春が「彼氏出来たー!」って、嬉しそうに報告してくれたよな。」
 「……別れるの、早っ。」
 「秋文ー……私、結構凹んでるだよ?」
 「で、今回はどうして別れたの?」


 立夏は、よしよしと千春の頭を撫でながらそう聞いてくれる。千春は、思い出すだけで泣きそうになりながらも、相手に言われたことをゆっくりと話した。

 「………先輩は、女の子らしい人が好きみたいだったから、頑張ってそれに近付けようと思ってたんだけど、先輩はそれに気づいてくれて。「千春の好きなことを教えて。頑張らないで、千春らしさでいいよ。」って、言ってくれたの。だから、趣味とか、食べ物とか、好きなこと少しずつ教えたんだけど…………。」
 「………思ってたのと違うって。」
 「また、それかよ。」
 「おい!秋文……。」


 秋文の突っ込みに、出が止めにはいるが、すでに遅かった。千春は、うるうると目に涙を溜めていた。



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