強気なサッカー選手の幼馴染みが、溺愛彼氏になりました



 そう言うと、秋文は少しだけ視線を逸らして、「それはさっき言っただろ。」と、恥ずかしそうに言った。


 「この会社が上手くいかなかったら恥ずかしいだろ。」
 「秋文と先輩が作る会社なんだから、そんなこと絶対にないのに………。」
 「千春がそう言ってたって聞いたら、先輩は喜ぶだろうな。」


 秋文はこの話をしたことで、肩の力が抜けたのか、先程よりも表情がにこやかになっていた。


 「先輩の助けになりたかったのが1番だけど、それに、おまえと付き合うことが出来てから、考えが固まったんだ。」
 「私……?」
 「サッカー選手は長い間出来るわけじゃないだろ。引退も考えなきゃいけない。その時に、サッカーでできる仕事をしたいとなると、すでに決めてあれば安心出来るだろ。……その、未来の話だけど。」
 「そんなことまで、考えてくれてたなんて……ありがとう、秋文。」


 秋文から少し先の事を初めて話をされた千春は、ドキリとしてしまう。お互いにいい年齢であるので、先の事を想像してしまうのは当たり前の事で、もちろん千春も彼との未来を考えていた。
 けれど、秋文がもっと先を見てくれていたことに驚き、そして安心した。秋文も考えてくれているのだと。

 けれど、サッカーをする事が大好きな彼がやめることを考え、そして会社を経営することが彼の望んでいる事なのだろうか。
 もっともっと上を目指しているのではなかったのか。千春は、それが気がかりで仕方がなかった。


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