分け合う体温
あの夜から、1週間が経った。

学校から帰って来ると、誰もいなかった。

一人、ため息を漏らす。


もう、悩むのは止めにしたい。

あの夜の事は、事故だって。

無かった事にしたい。


その時だった。

「由乃。」

振り返ると、理人が立っていた。

「お帰り。」

私は、また理人を無視して、ソファに座った。

「まだ、怒ってるの?」

そう言って、理人は私の隣に座った。

「はい、これ。」

理人は、私にケーキの入った袋を渡して来た。

「これで、機嫌直して。」


袋の中を見ると、私の好きな苺のショートケーキが入っていた。

いつの間にか、私の顔は笑顔になっていた。

理人は、こう言う人。

私の好きなモノを、一番知っている人。

だから、苦しい。


「なんで、あんな事したの?」
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