分け合う体温
理人がコーヒーカップを、一生懸命に回したから、私達はグルグルと目が回ってしまった。

「もう。理人、やりすぎ。」

「ごめんごめん。」

くたくたの私達は、近くにあるテーブルの上に、体を伏せた。

横になった理人の顔が、私の顔の横にある。

「由乃。」

「なあに。」

「好きだよ。」

そう言って微笑む理人に、私は幸せいっぱいだった。


「今度は何に乗る?」

「うーんとね。」

私の目に、観覧車が映った。

あそこだったら、二人きりになれる。

「理人。私……観覧車がいい。」

「いいよ。行こう。」

理人は、私に手を差し伸べてくれた。

私は、何の迷いもなく、その手を握った。


観覧車までの7,8分。

私達は、手を握りっぱなしだった。

理人の手は、温かかった。
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