溺甘系朧咲夜【完】
「松生と日義はもう志望校決めてるだろ? 同じところ目指すんだったら、この成績じゃキツいぞ?」
そうなんだ。親友で主席の日義頼と次席の松生笑満は既に志望校を決めていて、二人とも同じ国立の大学。
高校までくっついてきた私だけど、完全に一人で遅れている。
――ここは何を言われても食い下がる覚悟だっ!
「先生! もう一度家庭教師してください!」
「いいぞ」
「先生のお仕事にはご迷惑おかけしませんので――って、え? いいんですか?」
「うん? いいよ。学校でも授業以外でも教えてる生徒もいるし――それこそ国立狙いとかな。咲桜だったら俺が華取の家に行くかうちに来てもらうかした方が効率いいだろう。それでよければ」
「お願いしますっ!」
「わかったわかった。そうしゃちほこばるな」
思いっきり頭を下げた私の髪をくしゃくしゃと撫でる先生。わわっ、頭汗かいてないかなっ?
「今日の用事はこれだけか? 少し待っててもらえれば送って行くぞ?」
「あ、もう一つお聞きしたいことがありまして……」