好きの代わりにサヨナラを【蒼編】《完》
それに続いて、テレビに初出演した時の映像、二枚目のシングル曲など過去の映像が流れる。

センターに立つ過去のあいつは、希望に満ちた目をしてキラキラ輝いていた。

それを観るあいつの表情が、ワイプで抜かれる。

今のほのかは、あの頃とは別人のようだった。



『それでは、snow mistの皆さんに視聴者からの投票で一位だったデビュー曲を歌っていただきます』

ヘッドセットマイクをつけたメンバーが、ステージへと歩き出した。



ほのかは、ステージの最前列に一人で立っている。

その後ろに二人のメンバー、三列目には三人のメンバーが立って逆三角形を作っていく。

卒業した美憂が立っていたポジションは、ぽっかり穴があいている。

ステージの中央で、ほのかは無表情でうつむいていた。
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