好きの代わりにサヨナラを【蒼編】《完》
部屋に入ると、パンフレットを抱えたまま後ろ手でドアを閉めた。

俺は泣き崩れるあいつを、黙って見ていることしかできないのか。



あいつに自分の気持ちを伝えてはいけなかったのだろうか。

それとも、ほのかが上京すると告げたあの時、別れを選ばずに『お前が好きだ』と伝えるべきだったのだろうか。



そうすれば、ほのかは苦しまずに済んだのか。

今更後悔しても、過去は変えられない。



俺は、抱えていたパンフレットを床に放り投げた。
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