好きの代わりにサヨナラを【蒼編】《完》
キスを知ったあいつ
N高校の合格発表当日、俺はずいぶん早く目が覚めてしまった。

自分では受験が終わって気が抜けたように感じていたが、今日はかなり気が立っているらしい。



パートに出でている平日は早起きな母親ですら、まだ寝ているような時間だった。

目が覚めたからといって母親を起こすのも可哀相だ。

俺はまだ日が昇らず薄暗いリビングの明かりをつける。

自分でコーヒーをいれて、テレビをつけた。



朝の情報番組で、話題の映画が取り上げられている。

近日公開予定の注目作品の中に、あいつの名前があった。

俺はすぐに、その映画のタイトルをスマホで検索した。
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