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二重人格の御嬢さん
数ヶ月に一度通う 病院で

忘れた頃に 隣にすわる

70過ぎくらいの おじいさんは

決まって 私に声を掛ける

「二重人格の御嬢さん、今日も誰かの面会かな?」

私はこの人に自分の事を話したことは無い

それなのに、おじいさんはどういう訳か 私を『二重人格の御嬢さん』と呼ぶ。ちょっとイラッとしつつも愛想笑いで受け流そうとする私に、おじいさんは静かに話し始める

「貴女は他人の事で悩む人だからね…。自分に悩む事があったら『笑う』といい。貴女の笑い声は『人を幸せにする』。両手を出してごらん…ほら、そうだ。貴女は頭の回転が早いから、ついつい 人と会うと色々と感じ取ろうとしてしまう…厄介だね。『違う自分を作り出そう』とする事は悪い事じゃない。まぁ でも、そんな自分を笑って許してあげたらどうかな?」

私はただ 笑って聞くしか出来なかった





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