【短】分かって気付いて傷付けて…
それなのに、まだ。


「好きだよ、泰己」

「ん…」


冷めたふりも見せずに微笑んで、とっくの昔に冷たくなっている言葉を舌の上で転がした。



きっと、もう好きじゃないんだ。
私だって。
そう言い聞かせてみる。
部屋で、一人きり。
だけど、それは完全に無意味に終わる。

誰にも気付かれない場所で涙を零したって、この心のSOSには気付いて貰えないと十分過ぎるほど知っている。
なのに…ぽろぽろと溢れる微熱のような温度の涙は…私の気持ちそのもので。


「もう…やめよう。こんな宙ぶらりんな関係、終わりにしよう…」


私はそう呟いて涙を拭った。


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