one Love 〜知らなかった恋する気持ち〜


「あ…….だから何か、持ってないといけないかな、って……」

「別にどっちでもいいんじゃん?」


もじもじしながら言葉を並べていると、ずいぶんとあっさりした理玖くんの返事が返ってきた。

意外な言葉に拍子抜けして顔を見上げる。

お風呂に入ったあとだと思われる理玖くんは、昼間と違って髪がサラサラで無造作。

セットされた完璧な雰囲気とはまた別で、ちょっと無防備な感じ。


――トクン……トクン……。


そんな理玖くんのレアな姿が、私の鼓動を高鳴らせていく。


「いけないって、別にそんなことないだろ?っていうか……」

「……?」

「持ってなかったんだ、デンワ」


ギクッ……。


ややや、やっぱり……変ですか⁈


「でも別に……」


そう言った理玖くんの手が私の右肩に乗る。

少し屈んで、目と目を真っ正面から合わされた。


「俺は桃香がそんなの持ってなくても、桃香にこうやって会えるし」


えっ……。

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