one Love 〜知らなかった恋する気持ち〜
帰郷の決意



期末テストも終わり、今年も残すところあとわずか。

返ってきた答案用紙にため息がこぼれる。


本当に私……何をしに東京に来たんだろ……。


大学進学のために、宮城からはるばる東京にやってきた。

勉強のために、進路のために、そのためだけだった。

それなのに、一番おろそかにしちゃいけない勉強が、一番おろそかになっている。

今回のテストでは、とうとう平均点スレスレの教科を出してしまった。


「ねぇ理玖ー! 今日暇⁈」


教室のどこかから、浮かれたそんな声が聞こえてくる。

無意識に顔を向けると、クラスの女子たちに囲まれる理玖くんの姿が目に入った。

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