停留所で一休み
「聞けば入社以来、有給を使ったことがないそうじゃないか。」

「はい。」

「どうだ?この際、半分くらい消化してきたらいいんじゃないか?」


私は直ぐに”はい”と言えなかった。

有給の半分って、月の2/3だよ?


「今の時期にですか?」

「ああ。観光シーズンでもないから、空いてるし、旅費も安いぞ。」

私の事を気にかけて、気晴らしを勧めてくれるのは嬉しいんだけど、こんな状態で行ったって、たかが知れている。

「…プロジェクトは、どうするんですか?」

高田部長はもう、他の書類に目を通している。

「また、一からやり直しだからな。」

「わ、私にやらせて下さい。今度こそは、頑張ります。」

私は、高田部長の側に寄った。
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