停留所で一休み
「あの二人は、あまり飲めないのよ。」

一香(イチカ)は私の妹で、姉弟の2番目。

結婚して今や、2児の母親だ。

克己(カツミ)というのは、弟。

末っ子で、郵便局で働いている。


そう言われてみればあの二人。

あんまり酒豪のイメージがない。

私だけか。

お父さんの相手ができるのは。


テーブルに戻った私に、父はビールを注ごうとしている。

「ええ!お父さん、いいよ。自分で注げるから!」

「遠慮するな。」

低い声で静かに答えた父は、これまた静かにビールを注ぐ。

「仕事、ご苦労だな。」

まるで高田部長よりも、上司みたいだ。

「あっ……お疲れ様です……」

私はコップの底に手を当てると、低姿勢で父と乾杯をした。
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