追憶日和

20分ほどで正典の住むアパートに着いた。


礼を言って車を降りる。


「オーナー、気を付けて」


「ありがとう。――そうだ、明日は休みをあげるわ。少しは彼女と過ごしなさい」


正典は笑って頭を下げた。


「それじゃあね」


しのぶは手を振って車を発進させた。


――さてと、明日休みをもらったことだし美江を誘ってみるかな。


正典はポケットから家の鍵を取り出した。


「正典・・」


突然名前を呼ばれ振り返ると、そこに美江が立っていた。


「美江!ビックリした。どうした?俺に会いにきてくれたの?」


そう言って美江に歩み寄る。


「・・疑いたくなかった」

「え?」


「疑いたくなかったのに!」


「何のこと?」


美江はキッと正典を睨んで、


「さっきの女の人と付き合ってるんでしょ!」


「ええ!?」


美江の言葉に正典は驚いた。


「何言ってんだ、違うよ!」


「言い訳なんて聞きたくない!」


美江は走り出していた。



何よ・・・正典のバカ!!

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