恋する24時 2

 目の前に、ニコニコとは違う

 へらっとした、ユルい笑顔で

 アタシを見つめる可児(ゆずる)先輩が

 今日もいる。




「……コレ、今日もやるンですか?」




 居酒屋のテーブルの端に

 10枚ずつ並べられた100円玉2山

 今日のバイト代は2000円らしい。




「うん、今日の報酬ね、由似ちゃんお願いします」




 アタシは、仕方なくため息を付くと

 レモンサワーを一口飲んで

 可児先輩の瞳をじっと見つめて




「可児先輩、好きです」




 と、言うと




「ん~、なんか棒読み過ぎ~、もっと感情のあるヤツがい~」




 テーブルの100円

 こっちにスライドさせて

 つまらなそうな顔で、のたまう。



 めんどくさいな……




「……好き、ですよ? 可児先輩」




 仕方なく、首を傾げて

 上目遣いに言ってみる。



< 2 / 186 >

この作品をシェア

pagetop