True Heart
「あのさ、私が勤務しているところわかってる?」

ゆかりに鏡を返すと、私は言った。

「…スーパーマーケットでしょ?」

「スーパーマーケットのどこで働いてる?」

「…精肉部、お肉屋さん」

「食品を扱っている以上、衛生面は特に気をつかっているの。

そのためにマスクをするように義務づけられているし、帽子もちゃんとかぶって髪の毛を隠さないといけない。

メイクなんか必要ないよね?」

「だ、だけど、休みの日くらいは…」

「しません、なので教えてもらわなくても結構です」

ゆかりは鏡とメイクセットを紙袋の中に片づけながら、
「せっかく似合ってるのに、もったいないよ…。

女に生まれたのに、女を捨ててるのも同然だよ…」

ブツブツと言っていた。
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