しあわせ食堂の異世界ご飯3
マイクはその美味さに目を見開き、親方は熱さで新鮮な空気を体内に取り込むが、その美味しさに箸が止まらないようだ。
 チクワの弾力さは食べ応えがあり満足感が高く、がんもどきの沈み込むようなしっとりした食べ応えは、どこか上品さすら感じるのではないだろうか。
 次に手をつけたのは、味が染み込んで黄金色になった大根だ。
 親方がフォークをさすと、大根は調理前の硬さなんて微塵も感じさせず柔らかにそれを受け入れた。
 じわりと溢れ出たスープに、親方はごくりと喉を鳴らす。
 かぶりつくと、大根は口の中でとろけてしまった。
「大根なのに、あっという間になくなっちまった!」
「ジャガイモはどうだ!?」
 今度はマイクがジャガイモにフォークをさすと、さした場所からまっぷたつに割れてしまった。けれどぐずぐずにはなっておらず、綺麗な形のまま。
 一口サイズにしてから口へ入れると、ほくほくとしたジャガイモの食感で口内がいっぱいになる。
 確かにこれは、寒い中で食べたら一瞬で体が温まるだろう。
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