僕と初恋
あなたは前の席にいた。

ブレザーの襟にかかるくらいの髪に 小さな耳たぶ
整った顔立ちのあなた
ピンク色の校門にたったら映えそうで
でもあなたは僕よりどこか遠そうで

だから僕は驚いた

「これからよろしく」

名字で呼びあうようになった
学校 勉強 遊び
何気なく近寄って
何気なく語り合い

「また明日」

カエルが鳴く
セミが叫ぶ
僕たちはタニシを投げて
田んぼに落ちた

緑の稲 隙間の茶色
半袖ポロシャツを土色に染めて
町を歩くと視線が集まる
自転車を押す僕 横のあなた

「くっさー」

緑がなくなってきた帰り道
かすかに見える三郡連山
黄色に染まる道路 宙をひらひら
銀杏の葉
扇子に見立ててごっこ遊び
僕とあなたで

「大奥ごっこ」

教室のストーブ
中心の人が王様
僕は窓際 あなたも窓際
前後の席
椅子の下 机の下
足を絡ませ 暖をとる

肩まで伸びた髪
変わらない耳たぶの大きさ
整った顔立ちのあなた
葉を捨て真っ裸の木々の下
貫禄ある出で立ちの校門に
今の僕は映えそうで
そしてあなたが隣にいて

あなたに一言いってみた
西の風が顔叩いて赤くなってた
あなたの頬も赤かった
< 1 / 1 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

鳴らない僕のスマートフォン

総文字数/452

恋愛(その他)1ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop