禁断のお茶会
ほうきを動かし、掃除を続けるエリーゼは何度もため息をつく。

そうしている間も、多くの村人たちがエリーゼに声をかける。

まるで監視されているみたい、そうエリーゼは一瞬考え、首を横に振る。

優しい村人たちがそんなことをするはずがない。何を失礼なことを考えているんだろう。

そう思いながらふと地面を見たエリーゼは、緑の地面に何やら黒い何かが落ちているのに気づく。

それは、黒い手紙だった。深い夜のような黒。

エリーゼはその手紙をポケットに入れる。理由はわからないが、この手紙は自分を救う大切な鍵だと思った。

家の中に入ると、エリーゼは自分の寝室へと向かいその手紙を開けた。



手紙を開けると、手紙が一瞬鈍い白い光を放った気がして、エリーゼはこの村に伝わる伝説を思い出す。

「これって…魔女の手紙?」

普通の女性なら驚き、恐怖の悲鳴をあげるのかもしれない。

魔女の手紙の伝説の話は有名で、知らない者はいない。他国から来た旅人が知っていて驚いたこともあった。

この村や近くの国々では、真っ黒な便せんなどは使わない。真っ黒な便せんなどそもそも存在しないのだ。
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