森の妖精と団長さん




「エマ様!怪我人がたくさんいらしてます!」


「はーい!今行きます!」



街が活気づいてきて、みんなが動き回るせいか怪我人が増えた。
私が薬師だと知っているからだろうけど、最近屋敷に怪我人が来ることが多くなり、屋敷が賑やかだ。


今日はお兄様が出かけているため、私は屋敷に一応留守番としていなきゃいけない。



「エマー!早く手当てしてくれ!!」


「はい!待っててください!」


薬師として働くことはこんなにも楽しかったのかと改めて感じる日々だった。


王宮での日々を思い出す。

エリックがいて、外を見れば汗を流して訓練してる騎士団のみんな
お昼過ぎるとエリックとルカさんの部屋を訪ねて、お茶の時間



あれは現実だったのかなぁなんて思うくらい遠くのことに感じた。



「みんな元気かな…」


シスカさんにお祝いを言いたいし、
ルカさんは体大丈夫だろうか…

結局、ルカさんの容態が安定した頃に屋敷から小屋に逃げたから面と向かって話していない。


あれからもう1年近く経った。

私のことなんて忘れているだろう。


気が落ち、涙が溢れそうになったが、慌てて気持ちを落ち着ける。


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