素敵な協議離婚~あなたが恋するメイドの私~
10月11日①
その日は…朝から雨が降っていた。
朝食の片付けを終え、昼食の仕込みに取りかかろうとした時、キッチンの窓から庭に出ようとするランスを見つけ慌てて追いかけた。
「ランス様!いけません、濡れてしまいますっ!」
シャツを掴み、近くのガゼボに押し込むと持って出たタオルで、彼の濡れた顔や体を拭いた。
「悪い……あまり気にしてなかった……」
「気にして下さい!風邪を引いたらどうするんですか!」
彼は手探りで私の頭を触ると、その髪が湿っているのを感じて、慌てて謝罪した。
「ごめんよ、メグ。早く拭いて、君も風邪を引いてしまう」
困る………。
正直この反応はとても困る。
先日の病院の一件から、ランスはメグを少し特別にみるようになっていた。
からかうように悪態をつくのはいつものことなのだが、その中には「楽しい」という感情がありありとみてとれた。
そして、今もこうやって濡れたメグを心配して髪を撫でたりしている。
「ラ、ランス様……その、セクハラですよ」
「何が?」
「髪を………触るのは……あの……」
「ああ!ごめん。訴える?」
「ふふ、そうですね!でも、今のランス様には払えるお金がないのでやめておきます」
彼はヤられたというように大きな声で笑うと、手探りでベンチの位置を確かめ、どっかりと座り込んだ。
そして、笑い疲れてふうっとため息をつくと顔を上げて私に向けて微笑んだ。
「この庭には……よく妻が佇んでいた。さっきオレが立っていた場所にいつも……」
「……奥様を思い出されてたんですか?」
そんなバカな!見たことはないはずよ!
と声を上げそうになって、それを呑みこみ、代わりにメグとして質問を返した。
「ほら、この庭の隣に家があるだろ?実はそこはオレが借りてたんだ。隣家の書斎からは、この庭が良く見えるから……」
庭のすぐ隣には3年前から同じ家が建っていたが、どんな人が住んでいるのか一度も見たことはない。
こちらに面した部屋にはレースのカーテンがかかっており、庭からはその中の様子を伺い知ることは出来なかったが、まさかそこから………。
「……見ていたんですか?」
「見ていた……ずっと……」
「なぜ?……なぜですか?」
あまりに衝撃的なその告白に、私の声は微かに震え、その変化にランスも多分気づいた。
首を傾げ、声のした方をじっと見ている。
「妻を愛していた………」
嘘!!
一体どんな目的でそんな嘘をつくの!?
本当は私がメリーだと知っていて、一生懸命尽くしているのを嘲笑ってるんじゃないの!?
だって、そんな言葉、一度も聞いてない!
「だが……妻はオレを愛してなかった……他に、愛する男がいたんだ……」
「は……………はぁ!?」
怒りの頂点にあった私は、思いがけないその言葉に突然奈落に叩き落とされたような気分になった。
『愛する男』?
全く身に覚えがないんたけど!
その日は…朝から雨が降っていた。
朝食の片付けを終え、昼食の仕込みに取りかかろうとした時、キッチンの窓から庭に出ようとするランスを見つけ慌てて追いかけた。
「ランス様!いけません、濡れてしまいますっ!」
シャツを掴み、近くのガゼボに押し込むと持って出たタオルで、彼の濡れた顔や体を拭いた。
「悪い……あまり気にしてなかった……」
「気にして下さい!風邪を引いたらどうするんですか!」
彼は手探りで私の頭を触ると、その髪が湿っているのを感じて、慌てて謝罪した。
「ごめんよ、メグ。早く拭いて、君も風邪を引いてしまう」
困る………。
正直この反応はとても困る。
先日の病院の一件から、ランスはメグを少し特別にみるようになっていた。
からかうように悪態をつくのはいつものことなのだが、その中には「楽しい」という感情がありありとみてとれた。
そして、今もこうやって濡れたメグを心配して髪を撫でたりしている。
「ラ、ランス様……その、セクハラですよ」
「何が?」
「髪を………触るのは……あの……」
「ああ!ごめん。訴える?」
「ふふ、そうですね!でも、今のランス様には払えるお金がないのでやめておきます」
彼はヤられたというように大きな声で笑うと、手探りでベンチの位置を確かめ、どっかりと座り込んだ。
そして、笑い疲れてふうっとため息をつくと顔を上げて私に向けて微笑んだ。
「この庭には……よく妻が佇んでいた。さっきオレが立っていた場所にいつも……」
「……奥様を思い出されてたんですか?」
そんなバカな!見たことはないはずよ!
と声を上げそうになって、それを呑みこみ、代わりにメグとして質問を返した。
「ほら、この庭の隣に家があるだろ?実はそこはオレが借りてたんだ。隣家の書斎からは、この庭が良く見えるから……」
庭のすぐ隣には3年前から同じ家が建っていたが、どんな人が住んでいるのか一度も見たことはない。
こちらに面した部屋にはレースのカーテンがかかっており、庭からはその中の様子を伺い知ることは出来なかったが、まさかそこから………。
「……見ていたんですか?」
「見ていた……ずっと……」
「なぜ?……なぜですか?」
あまりに衝撃的なその告白に、私の声は微かに震え、その変化にランスも多分気づいた。
首を傾げ、声のした方をじっと見ている。
「妻を愛していた………」
嘘!!
一体どんな目的でそんな嘘をつくの!?
本当は私がメリーだと知っていて、一生懸命尽くしているのを嘲笑ってるんじゃないの!?
だって、そんな言葉、一度も聞いてない!
「だが……妻はオレを愛してなかった……他に、愛する男がいたんだ……」
「は……………はぁ!?」
怒りの頂点にあった私は、思いがけないその言葉に突然奈落に叩き落とされたような気分になった。
『愛する男』?
全く身に覚えがないんたけど!