先生が私に恋をした
両手を出してかっしーの手に重ねた

「奏さん、手キレイだねー。手入れしてるの?」
「クリーム塗るだけ」

本当になにもしてない
ただ、手を洗う度にクリームを塗るだけ
なのに、そんなこと言われたの初めて
手なんて見る人もいるんだ、、、

かっしーの指が私の手のひらをなぞる
そのまま握りしめた

てっ、、手相見るんじゃないの?
なにをっ、、、

「て、手相見るって言ったのに、、、」

かっしーの顔をあれ以来初めてまともに見た
真っ直ぐに見つめ返すかっしー
反らしたいのに
なんでか反らせない

「奏さん、ちゃんと向き合ってほしい。」
「向き合うって、そんな都合のいいこと、、、」

握られたままの手を離そうとしたら
より一層力がこもる

「自分の気持ちに嘘をついて結婚なんて出来ない
これが俺の出した結論」
「そんな、勝手な、、、相手の気持ちはどうなるの?」
「奏さんがその立場なら嘘ついたまま結婚された
ほうがいいの?」


< 53 / 128 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop