先生が私に恋をした
もう一度だけ
久しぶりに食事をしながら会うことにした

仕事帰り、直接来ることにしたため、私の方が早く
着いて真治が来るのを待つ


「奏、ごめん待たせて」

顔の前で手を合わせ申し訳なさそうに謝る真治

「大丈夫。私も今来たばかりだし」

真治は座るとすぐにメニューを開き、食べたいものを注文
した。
私、待ってたから注文まだなのにな
以前の真治なら、“奏はなに食べる?”とか
“決まったら言って、注文するから”とか私をちゃんと
気遣ってくれてたのに、、、

久しぶりにご飯一緒に来たから忘れた?
それとも他に何かある?

そんな疑問を水と共に流し込む

「あのね、真治、」
「ちょっと待って。まだ言わないで
ご飯食べ終わったらにしよう」

真治は予感してたのかもしれない
私が出した結論を。


他愛もない話をしながら、ご飯を済ませて外に出る
もう7月だ。
外に出た途端にモヤッとまとわりつくような暑さ

そーいえば、今月末に真治の誕生日。
35歳になる。
もう、いい年齢。子供がいてもおかしくない歳だ

車に乗る前に、私は結論を真治に伝えた

「真治、あのね、私やっぱり結婚は出来ない。
沢山考えて、仕事のことも、真治のことも、これから
どうすべきか悩んだんだけど、私はまだ仕事をしたい
それから、、、」

「もういいよ。奏の気持ちはなんとなく分かってた
だから、最後のカケのつもりで、プロポーズしたんだ」


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