揺れる、オトメ。
そう言って、おばあちゃんは椅子から立ち上がり、となりの和室の部屋に入っていった。


え?なに、おばあちゃんの中学の卒業アルバム見せてくれるの?

少しして、おばあちゃんが持ってきたのは、一冊の手帳。外側には桜の花びらが舞ってるデザイン。
布っぽいからおばあちゃんの手作りかな?


「多未、よく聞いてね」
「うん」

仕方ないから聞いてあげるよの姿勢は、よく聞く、に当てはまるのかな?ま、いっか。


「多未は中3の始業式の日以来、学校に行ってないで中学生は終わってしまった。そうだね?」


「…うん」


ひどくない、おばあちゃん。そこ確認しなくてもちゃんと知ってるよね、お母さんとかに聞いて。


「多未は、この時に戻ってしたいことは何?」

え?…したいこと。やっぱり…

「友達と卒業旅行行きたかった。あと卒業式。」

「ふふっ、じゃあ、友達と仲のいい思い出が欲しかったのね。」


そう言って、おばあちゃんは手帳に『友達』と書いた。
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