揺れる、オトメ。
一学期

始まってゆく

「おい、木に寄りかかって眠る女子、危なくないの?」

「いや、一応学校だし、大丈夫じゃね?」


最初に発見した男子二人がヒソヒソ話す。

とりあえず、心配している様子。


「びっくりだよな、ボール拾いに行ったら女子、昼寝中とか、あ、今朝だけど」

「何年生なんだ?」

「さあ?」



二人に少しの間沈黙が流れ、その後、

「俺、葉焼(ハヤキ)先輩、よんでくる」

「お、それいいな。じゃ、俺待ってる」

二人の役割分担が成立し、走り去る呼び役男子と、多未の近くに待つ役男子が腰掛ける。

少し沈黙の後、待つ役男子が一言。

「葉焼先輩は昨日、放課後練習落ち着かなそうだったけど、あれ誰かに告られたか…?」


完全な独り言である。その後少しの空白の期間があった後。

独り言、それなのに、


「…葉焼先輩、って、大原くん?3年生?」

目を覚ました多未が待つ役男子に問う。

「はい、先輩、俺らのこと優しく見てくれるからみんな大好きなんすよ。だから…」


ちら、何気なく横を見た待つ役男子は、男子側を見ていた多未と目が合った。あら、目が合っちゃった…とでも言いたそうな二人に突然、

「原口!あ、な、何してんのっ!?」


大慌てな大原くんがやってきた。

「あ、先輩、ちょうどいいっすね。じゃ、俺校庭が恋しいんで」


待つ役男子は、待ってましたとばかりに、あっという間に去って行った。


残る新たな二人、原口 多未&大原 葉焼

「あ、何もない?」


「え?」


何も?何も、って何が?
疑問、疑問、疑問。そういう時には聞く。

「何も、って何のこと?」


「え、あ、いや…」


葉焼は小さく、「隠すんだ…」と呟く。


多未は全く気がつかない。それどころか、

「ねえ、昨日。告白されちゃったの…?」

と、先ほどの男子の憶測話を真に受けて、大原くんに問う。

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