だから何ですか?Ⅲ
「最近・・・仕事詰め込んでませんか?なんか前より残業時間多いし、飲み会にも参加しないし」
「ちょっと前にまったく仕事なかったからね。詰め込めるほどあるのは良い悲鳴なんだけど」
「そ・・・ですけど。・・・ちゃんと食べてます?あ、私チョコレート持ってますけど」
「いらない」
「っ・・・あの、」
「ゴメン、・・・・悪いけど・・仕事に集中したいんだけど?」
「っ・・・・・すみませんでした」
ようやく小田の向けてきていた視線に自分のモノを絡め返した。
それと同時に口から吐きだした言葉は拒絶の響き。
関わってくれるな。
放っといてくれ。
余計なお世話。
そんな最低で非情な感情ばかりの言葉に向けられた相手が気がつかない筈がない。
傷つかない筈がない。
それを知っていて尚音にして、視線を絡め、躊躇いも見せなかった俺は最低だ。
そう、最低だと思ってくれていい。
静々と、何とかギリギリ保った気丈さで去り始める小田に罪悪を感じた『悪い』なんて言葉も口にしない。
むしろ、悪意の一言でなかったと分かっているけれど悪戯に俺の不快を煽った言葉に小さく舌打ちを響かせ顔をしかめた。
思い出す甘味に口の中が苦みに満ちる。
煙草もチョコも無意識に断ってどれほどなんだろうか。