星空電車、恋電車
あ、流れ星ーーー

プラネタリウムの天井にたくさんの星が流れ始めた。
身体を起こしてぐるっと見回してみると一面の星空に流星群。

あの日見ることの出来なかった星がたくさん流れていく。

幻想的なその映像は見ている私の身体全部を覆って星空に浮かんでいるような錯覚さえ感じ両手を広げるとその手の中に星が落ちてくるような気になる。

きれいーーー

視線を感じて隣を見ると、樹先輩が私を見て満足げに微笑んでいた。
プラネタリウムの星空、流れ星の中にいる私たちはーーー二人だけの世界にいた。

きらきらきらきら

流れる星と瞬く星。

星空の中にいるのは私たちだけ。

いつか二人で見ようと約束した星空。
それが今・・・

さっきの意味ありげな井本さんとの会話は幻想的なこのプログラムのことだったんだろうか。
きっと流星群を見ることができるプログラムがこれだったんだ。

胸の奥からこみ上げてくるものに堪えきれず、じわりと涙の滲んだ目で樹先輩を見つめると私の涙に困ったような顔をした。

慌てて視線をそらすとちょうどプログラムが終わるところで、音楽が変わりテロップが流れ始めた。
それがスタッフロールになったところで私の視線は一点を目で追うことになる。

え?

 制作協力 イギリスホライゾンデュアル大学 ハイランド教授研究室

 プログラム作成 倉本樹

 制作上映 株式会社スーパーノヴァ

・・・・プログラム作成?

音がしそうな勢いで首を横に振り、隣にいる樹先輩を見ると、困ったような照れているような表情をしている。

「これ、樹先輩が?」

「そう。向こうの教授の薦めがあって作らせてもらったんだ。千夏に見せたい星空を思い浮かべてね」

言いながら照れているらしく頭を掻きながら少し俯いている。薄暗がりでも見える樹先輩の口元は口角が上がっている。

「本当はあの時約束した2年ですぐに帰国するはずだったんだ。でもこの依頼があって。俺も千夏に頑張った証明がが欲しいって思って、帰国を伸ばして向こうでこれを作ったんだ」

上映前に井口さんが1年前のものだって言ってたのはそう言うことだったのか、と思い至った。
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