星空電車、恋電車
それから部活の名簿を頼りに彼女の家に行ってみた。
彼女の自宅は既に違う家族が住んでいて、知らない表札がかかっていたことにまた衝撃を受けた。


同じクラスに不動産屋の息子がいたから恥を忍んで頼み込んで調べてもらいわかったことはただ一つ。

彼女の住んでいた自宅は少し前から売りに出されていて、この引っ越しは元から決まっていたということ。夜逃げのような突然決まったことではない。
俺に伝える時間はあったのに彼女は言わなかったのだ。

千夏の同級生の蘭も言っていた。
「お父さんの転職が決まっちゃって近いうちに両親は遠くに引っ越すけど、私はここに残るんだ。叔父さんちから学校に通うから。ここで卒業するからね」と言っていたと。

初めはここに卒業までいるつもりだった。なのに、なぜ急に両親についていったんだ。

両親の引っ越しのことも何故教えてくれなかったんだ。
どうして俺には何も言ってくれなかったんだ。



誰に聞いても彼女の居場所はわからず途方に暮れた。

ーーーあれから二年。

千夏は本当にここに来るんだろうか。


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