不良な彼と恋の契約
「何、人の女どさくさに紛れて口説いてるわけ?
お前そう言うキャラだっけ?」

いつも、不機嫌だけど今日は数倍不機嫌な仁くんの声が、すぐ頭上から聞こえた。


「仕方ねーだろ。
好きになったんだからっ」

どの瞬間に、好きになったのか謎なんですがーー。


「それに、お前俺の想にキスしたな。
ふざけんなよ!」

蘇るキスの余韻が、思い出しては熱を持つ。
思い出したくなかったのにーー。

「いいだろうが、ケチ!
ユリにしたことチャラにしたかったら、許せっ」

最終兵器使ったよ、この人。





「ユリのことは、許してくれなくていいよ。

一生、背負ってくからーー」


一生、背負って行くことはきっとーー辛いこと。

「一生、背負わなくていいだろう。
だってお前にはそいつがいるんだもんな」


輝さんが、私を見た。

優しい微笑みに、思わず緩む頰。

不意に、仁くんを見たら微笑んでいた。

「よし、想。
動物園の続き行こうぜ!!」


「想、ウサギ見に行こう!」

んーー?

あれ。

「輝っ、なんでお前がついてくるんだよ」

そう、私の側にいる輝さん。
半ば強引に、間に入って来た輝さんが、ニヤリ、と笑った。


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