姫は王となる。
…何故、風が謝るの?
「王様や王子様を守れず自分だけが助かってしまうなんて、護衛の任務に就いている者としてあってはならないことです。どんな罰でも受けます、どうか私に処罰を…」
処罰?
風は何を言っているの?
こんなに痛々しい姿になってもまだ、処罰を受けるというの?
風の言葉に驚いて、何も言わずにいるとー…
「花蘭様…いえ、王様」
ドクン。
風の口から王様と呼ばれ、心臓が深く脈を打った。
どうして私が王になったと…
あぁ、そうか。
父様と兄様がいなくなった今、考えなくても王位を継ぐのは私しかいないからかー…
「どうか、処罰をー…っ」
風は起き上がろうと身体を起こしたが、痛いのか大きなガーゼが貼られたお腹を押さえながら顔を歪めた。
「王様…」
それでも起き上がろうと、額に冷や汗が流れてもひれ伏そうとする。
「…」
…王というのは、そんなに偉いのか?
そんな風の姿を見て、自問自答する。
王族というのは、風や他の護衛達の命よりも尊いものなのか?
自分の命を懸けて守ろうとするほど、王族は価値あるものなのか?
「…王命を言い渡す」