お日様のとなり
新しい気持ちと変わらない思い

***


自分の気持ちに気付いてから数日が過ぎた。

その間ずっと考えていた。

『それはどういう好き?』

真央先輩に言われた言葉の意味が今ならやっと分かる。

大蔵に対して抱いていた好きという気持ちと、イチくんに対するその思いが別の物だということが。

そして大蔵が私に好きだと言ったのは、きっと幼馴染としてじゃなく、私がイチくんに対する思いと同じ意味だ。

だとしたら私は、大蔵の好きに応えられないということ……。

「みあ、購買行こ!」

「うん」

昼休み。

今日は苑実と購買でパンを買って、屋上で食べる約束をしていた。

授業が終わって早速購買部に向かう。

その途中。

廊下の向こうから友達と一緒に歩いてくるイチくんを見つけて、脈が一気に速くなるのが分かった。

一歩踏み出すごとに近くなる距離に、心臓が破裂してしまいそう。

すれ違うまで、あと数メートルという時だった。

「待ってよイチ!」

名前を呼ばれたイチくんが振り返る。

それと同時に腕に飛びついてきたのは橋本さん。

お似合いのツーショットに心がキシキシと音と立てた。

今日も髪は結ばれていない。

イチくんが、そっちの方が良いと彼女に言ったのだろうか。

確かに橋本さんは、髪を下ろしている時の方が大人っぽくて可愛い。

2人が付き合い始めたとか、そういう話はまだ耳にしていない。

私が知らないだけかもしれないけど……。

だけど、寄り添う2人の雰囲気はすでに友達の域を通り越してしまっているように見えて仕方がなくて、直視することが出来なくなった。
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