君に贈る最後の花は
私達の日常

「以上でHRを終わります」

挨拶が終わると机を教室の後ろに運び、掃除の準備をする

私たちの教室である26番教室の隣の27番教室が私の担当場所

普段は空き教室として使われてるためそんなに目立った汚れとかはないが、やはりゴミは出てくるため掃除は必要だ

「イェーイ!!ノってるかー!?」

掃除の時間、のはずだけど私と同じ掃除場所の犬飼直也はほうきをギターのようにして一人ではしゃいでる

「ちょっと直也、ホコリ舞うからやめて」
「んだよ彩!お、来た来た!類ノッてるか!?」

ドアの方へ視線を移すとそこには類、私の彼氏が立っていた

類は何一つ表情を帰ることなく無言で直也に近づいていく

「え、ちょ待てよ!激おこなの…?」

この質問にももちろん無言
そして直也の前で止まったかと思うとほっぺをつねって笑った

「イテテテテテ!!」
「バーカ、こんなんいつものことだろ?」

どうやら類はわざと怒ったふりをして直也をからかっていたらしい
その光景を見ていた私は思わず笑っちゃった

「ちょっと男子!掃除しろっつーの!!」

突然聞こえた怒号に三人揃ってビクッとする
廊下掃除を終えたさつきがちりとり片手に仁王立ちして男子二人を睨みつける

「げっ、さつきぃ…」
「げってなんだよ!いいからやーれ!!」

直也の背中にさつきの飛び蹴りが綺麗に入った
「痛っ!!!」
背中を押さえ転げ回る直也をフンっと鼻を鳴らして見下すさつき、普通のカップルではこんなの有り得ないはずなんだけどこの2人はこれが普通らしい

「ちょっと彩!類にも掃除するように言っておいてよ〜、彼女の言うことしか聞かないんだから」

『彼女』
突然投げかけられたその言葉にドキッとする
当の類の方はというと、口をツンと尖らせそっぽを向いてる

一見怒ってるようにも見えるが、耳が赤くなってる
照れてるなぁ?

「あ、類照れてるー?」

私の心を読んでいるかのようにさつきがからかうと
再び直也のほっぺをつねっている指に力を入れる

「いひゃいっへは!!」

んー、多分「痛いってば!」って言いたかったのかな…なんて悠長なこと言ってる場合じゃなかった

「類、直也悪くないからやめてあげて?」

類は私の顔をしばらくジーッと見つめるとようやく手を離した

「イテテテテ…あ、いい事思いついた!!」

赤くなったほっぺたをさすりながら叫ぶ、なにかひらめいたみたい

「はぁ?アンタのいい事ってろくなことないんだけど」

相変わらずの辛口、でも直也はお構い無しに話を続ける

「カラオケ行こうぜ!今日!!」

カラオケ、確か先週にも同じことがあったような気がする…これはデジャブ?

「そうと決まれば荷物まとめて行くぞー!」

ほうきを乱暴に掃除ロッカーに突っ込むと類を引っ張って教室に行っちゃった

「あれってほんとに男なわけ?女子に掃除押し付けるとか」

ブツブツ文句を言うさつき、それでもちゃんと好きなんだよね…直也のこと

どうやったらそんなに距離が近くなるって言うか、素直になれるのか聞きたいくらい

「彩行こ」
「あ、うん!」

さつきが私の手を引いて一緒に教室に戻るように促す
その手は、横顔は窓から射し込む夕日に照らされ薄いオレンジ色に輝いていた


「ごめんね彩、直也には後でちゃぁーんと言っといてあげるからさ!」
「あ、ううん!気にしないで、類も多分怒ってはないと思うから」

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